COLUMN
こんにちは。「無類の車好き」になる予定の崎村です。
面接に行った矢先、突拍子もなく「1年以内に、車好きになってね!」と言われ、突如始まりました当ブログです。まるで、彼女を指定されるような無理強い感が半端ない。のですが、プロ意識をもって、全力で取り組む決意をいたしました。
とはいえ、今までの流れが、たった2文で完結してしまう程全てはスピーディに、僕本人を置き去りに話は進んでおります。
で、編集長からの業務司令。
「そしたら早速だけど車庫証明取りに行ってください。
記事のネタになるように、ちゃんとトラップは仕掛けておくので、引っかかって来てね。
嫌だったら、事前にちゃんと調べて、直していって。
でも、引っかかるほうが面白いけど。」
出立する桃太郎に、きび団子持たせるノリで「お前を嵌める」と言われたことがなかったので、悪意かどうか一瞬ピンと来なかったのですが、まあまあの悪意だと思います。
書類にハンコを押しながら、「2回くらい、突き返されて戻ってきた方が面白いでしょ?w」と追い打ちをかけてくる編集長。それは…撮れ高的にはそうかもしれないんですが、わざわざ用意するものですかね?
しかしそもそも、今の今まで車を買おうなどと微塵も考えたことがなかったので、
まず「シャコショーメイ」とやらが何か、さっぱりわかっておりません。
調べたところ、「自動車の保管場所を確保していることを証明する書類」だそう。
要するに、人間がどこに住んでいるかちゃんと戸籍を登録しておかないといけないように
車もどこに保管しているかちゃんと国に教えとかないといけない、という感じでしょうか。
で、どうやらこの書類の手続きのために警察署に行かなければならないらしいのですが…。
今まで、警察署とは無縁に、真面目に人生を歩んできた僕としては、警察署に行くというだけでなんだか腰が引けてしまいます。
もちろん、お役所の申請なので、すべての情報がバッチリ揃っていなければだめなのでしょう。(そういえば、パスポートの発行とかも面倒だったなあ…車もそんな感じでしょうか?)
一応、googleで検索し、車庫証明書類のフォーマットをチェックしつつも、何がだめなのかわからないので、一旦そのままもっていくことにしました。
不安を抱えながら、最寄りの警察署へと向かいます。
「シャ、シャコショーメイを取りたいのでつが……」
おずおずと歯切れの悪い言葉を紡ぐと、優しく窓口を案内してくれます。
窓口へ着くと老眼鏡を携えたおじいさまが「それでは、こちらの書類に記入してください」と僕を促します。
…ん?なんだかさっそく、暗雲立ち込めましたね。書類はもっているのですが、これを渡せばいいのでしょうか?
いまいち何も分かっていないまま、編集長に渡された書類をそのまま提出。
まじまじと老眼鏡で書類に目を通すおじいさまが「むむっ」と唸ります。
「え~っとね、こ縺ョ??谺が合ってないよ]
「はい?」
「菴#@繧!が二、縺ォなってる」
「もう一声お願いします」
「住所?縺ョ谺?′二つ@縺ォ?k繧ですね」
「……なるほど、住所が二つになっている」
「印鑑証¥縺ェ〒見比;ぴィア」
今回、普段聞き慣れていない証明書類や車庫証明関係の専門用語やなんやと、一度聞いても覚えきれない新出単語が多い上に、窓口のおじいさまの滑舌が素晴らしく、ほぼ何も聞き取れません。
暫くすると、僕と窓口のおじいさまの一進一退進まぬやり取りに、見かねた女性の警察官さんが駆けつけてくれました。
「要はですね、この本拠地の住所項目に二つ記載があるんです。」
本拠地とは、端的に言うと自宅や会社(使用者の勤務先)の所在地らしい。車を保管する駐車場は本拠地から直線2km圏内でなければいけない決まりがあるそう…。
今回に関しては「使用の本拠の位置」は会社の住所になります。駐車場は徒歩2分なので、流石に2kmは無いであろう。問題はないはず…。
「ということで、会社の住所が二つ書かれているんですよね。この警察署から近くですとこちら側の住所になります。んーっと…これは支店という意味なのかな…この住所の従業員の方なんですよね?」
「ええ、まあ多分間違いなく、きっとそうなのだと思います。」
「多分間違いなくきっとそう?」
全貌を理解していないまま来ている上に、ここは警察署なので、日和ってしまって問われること全てに自信が持てません…。
まんまと編集長の罠にハマった結局、どうやらこのままでは駄目だそうです。
申し訳なさそうにされている女性の警察官さんに見送ってもらい、しぶしぶ会社へ帰ります。
帰ると「どうだった!?」と同僚が一斉に期待の眼差しを向けてくるので
僕も思わず溜めて「駄目でしたッ↑」と景気よく結果を伝えます。
やっぱダメだったか~!と沸く一同… 沸くんだ……。
編集長に指摘された箇所を伝えると「あ、それそのまま持っていったの?そりゃ引っかかるよね!笑」と頷きます。そりゃ引っかかるじゃないよ…
訂正印を押してもらい、正しい住所を記載。その後すぐさま警察署へ再度向かいます。
「ここ記入漏れがありますね。心して書いてくださいね~」
いきなり心臓に悪いリスタートです。言われなくても心して書きます。
もう後がない(?)間違えるわけにはいかぬ……。
「色々やってらっしゃる会社なんですね~(※事業内容を記載する箇所もある)」
「……。」
「邪魔しちゃ駄目よ、この人ったら、今真剣なんだから」
「あらあら~」
暖かく、見守られすぎている………。
振られる世間話にもほぼレスポンスすることなく、ミスなく書類を仕上げます。
しかし、女性の警察官二人が…じっと完成した書類を見て、怪訝な顔を…一体何?
「これ……会社の方が書かれた保管場所の住所、部屋番号が書いてありますね」
「?それってまずいことなんですか?」
「車をビルの一室にぶち込むわけではないですよね??」
「ぶ、ぶち込むわけではないですね…」
編集長……あんまりです。これも計算のうちですか? えっ本当に2回戻るんですか?
(えっこの人また訂正しに戻るの…?)
(せっかく戻ってきたのに…?)
僕の前で僕を憐れみながら、ギリギリ聞こえるくらいの声で警官2人が話し始めます。
「かわいそうなお人……」
マダム警察官に真っすぐ見つめられ、原文ママで、はんなりと同情を頂きました。
ここまで嵌められると、僕も若干面白くなって思わず吹いてしまいました。
しかしこの人たち、僕の哀れさが半端なかったのか
(こちらの訂正印で何とかならないかしら)と相談し始めます。
文字化け専門用語が得意なおじいさまも相談に加わり審議された結果…
「今回はこれで良しといたします!」
や、やったーー!!! 良しとされたーーーー!!!!
同情で勝ち取った車庫証明…
でも!同情でも…勝ちは勝ちです。
警察の方も、思ったよりもずっと優しかったので、怖がらずに、とりあえず自信がない書類でも窓口に行ってみるのものだなぁと思いました。(…あ、この結論を言わせたくて嵌められたんですかね?)
帰社し、「車庫証明がもらえた!」と報告するとそれはそれで「良かったね~!」と迎えてくれます。もう20代後半戦に差し掛かったところなのですが、この、はじめてのおつかい感は何なのでしょうか?
編集長に事の経緯を報告するとひとしきり笑った後、
「ごめん、それはマジミス」
(おい。)
…まあそんなわけで無事この書類をゲットしたのですが、
「じゃあフォルクスワーゲンさんに送っておいて」と伝えられます。
フォルクスワーゲン…ゴルフGTI……
ホントにそんな車に乗れるのか………?。
楽しみやら不安やら…。
続きは「いよいよ納車日!! ~ウェルカムドリンクがおいしい~」にて。
それでは!